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複数所有者の物件を売る際の法律的な問題点とその解決方法 

2023.09.30(土)

物件の共有者が複数いる場合、単独所有者の物件と比較して売却プロセスにおける法律的な課題が増えます。ここでは、そのような課題とそれに対する具体的な解決方法を3つの問題点を中心に詳しく解説します。 

【目次】

1. 共有者全員の同意が必要という法律的問題点 

2. 共有比率に応じた売却代金の分配 

3. 共有者の代表者選定とその重要性  

1. 共有者全員の同意が必要という法律的問題点 

共有物件の売却における重要な課題の一つが、「共有者全員の同意が必要であること」です。以下では、この問題点の詳細とその影響、そして解決策について詳しく探ることとします。 

Ⅰ. 共有者全員の同意がなぜ必要か 

法律的な観点から言うと、共有物件の所有権は全ての共有者に帰属しています。つまり、一人の共有者だけが意志を変更しても、物件全体の所有権を移転させることはできない、ということです。このため、物件を売却するためには、全ての共有者の合意が必要とされます。 
共有者全員の同意なしに物件を売却する際、以下のような法的トラブルが考えられます。 

①損害賠償請求
共有者の一部だけで物件を売却した場合、同意を得ていない共有者から、損害賠償を請求される可能性があります。この損害は、物件の売却価格、未実現の利益、精神的苦痛など、多岐にわたる可能性があります。

②契約の取り消し
売却が無効であるとの主張がなされる可能性があります。同意なしの売却は、法的に無効な契約とみなされることがあるため、取引を取り消しとする可能性が高まります。この場合、既に新しいオーナーに物件が移っている状況であっても、取り消しの手続きが必要となることも考えられます。

③遺留分の問題
特に遺産相続の際に共有物件が生じる場合、遺留分を侵害する形での売却が行われると、遺留分減殺請求が生じる可能性があります。遺留分とは、相続人が法律で保障される最低限の相続分のことを指します。 

④不動産登記の問題
共有者全員の同意がないまま売却を進めると、不動産の登記上の問題が生じる可能性があります。正式な手続きを経ないでの登記変更は、後に法的なトラブルの原因となり得ます。 

⑤信用問題
特定の共有者のみの意向で物件を売却した場合、それが後に露見すると、その行為が他の不動産取引における信用の喪失に繋がる可能性があります。 

Ⅱ. 同意が得られない場合の影響 

共有者の一人でも同意しない場合、物件の売却はできません。これは、売却を希望している共有者にとっては大きな不利益をもたらす可能性があります。たとえば、売却による資金を急ぎ必要としている場合や、市場価格が上昇しているタイミングで売却を進めたい場合など、適切なタイミングを逃すリスクが考えられます。
また、共有者間の関係が悪化する原因ともなり得ます。特に、理由なく同意を拒否する共有者がいる場合、他の共有者との間で摩擦が生じる可能性があります。 

Ⅲ. 解決策 

①事前のコミュニケーション 
売却を検討している場合、早い段階で他の共有者にその旨を伝え、彼らの意向や懸念を確認することが重要です。これにより、意見が分かれるポイントを早期に特定し、解決策を模索することができます。 

②中立的な第三者の介入 
合意が取れない場合、中立的な立場の第三者(例:弁護士や不動産コンサルタント)を介入させることで、情報の透明性を保ちつつ調停や意見の調整を行うことが考えられます。

③売却の利益分配の再検討 
共有者間で利益の分配方法を再検討することで、物件の売却に賛成するインセンティブを提供することも一つの方法です。たとえば、売却に反対している共有者に対して、売却利益の一部を多めに分配する提案をするなどの取り組みが考えられます。 
共有物件の売却に関しては、法律的な面だけでなく、人間関係や感情の面も複雑に絡み合っています。慎重なコミュニケーションと柔軟な対応が求められます。 

2. 共有比率に応じた売却代金の分配の重要性 

不動産取引における共有物件の売却では、共有比率に応じた売却代金の分配が必須となります。この分配の過程で起きる課題やトラブルを防ぐための解決策は、共有者間の円滑な取引の鍵となるポイントです。 

Ⅰ. なぜ共有比率に応じた売却代金の分配が必要か 

共有物件の場合、各共有者は物件に対して特定の比率で所有権を持っています。この比率は、たとえば相続や寄付、購入時の出資額に基づくもので、物件の売却によって得られる利益もこの比率に従って分配されることが求められます。
この原則が守られない場合、共同所有者の合意が得られない場合と同様に、後から以下のような法的なトラブルの原因となる恐れがあります。 

①損害賠償請求:
不適切な分配によって損失を被った共有者が、その差額を求める損害賠償請求を行う可能性があります。この請求は、具体的な金額差だけでなく、それに伴う利息や遅延損害金も含むことができます。 

②契約の取り消しや変更請求:
分配の不平等や不正が明らかとなった場合、関与した契約自体の取り消しや変更を求める請求を行うことも考えられます。 

③信用問題:
共有者間の不信や不和を生むだけでなく、外部の第三者との取引においても、信用の喪失や将来的な取引の阻害要因となる可能性があります。 

④登記上の問題:
売却代金の不適切な分配に伴い、所有者情報の変更やその他の関連する登記に問題が生じることが考えられます。特に、新たな物件の購入やローンの組み直し等、金銭的な動きに関連する登記での影響が出る可能性があります。 

⑤紛争の長期化:
一度不適切な分配が行われると、それを正すための交渉や手続きが必要となり、共有者間の紛争が長期化する恐れがあります。これにより、精神的、時間的、経済的なコストが増大する可能性があります。 

⑥税務上の問題:
売却代金の分配が不適切に行われた場合、所得税や相続税、贈与税などの税務処理に関しても影響が出る可能性があります。特に、不適切な分配が意図的に行われていた場合、税務調査の対象となる恐れもあります。 

Ⅱ. 分配に関する問題点 

①不明確な共有比率
共有者間での合意や過去の取引の履歴が不明確な場合、正確な共有比率を特定することが難しくなります。これにより、誰にどれだけの売却代金を支払うべきかが不明確になり、分配に関するトラブルが発生する可能性があります。 

②共有者間の利害対立 
例えば、物件のメンテナンスや改修に関する過去の出費を巡って、共有比率に応じた分配を再評価する必要が出てくる場合など、共有者間での利害対立が生じることがあります。 

Ⅲ. 解決策 

①共有比率の明確化と文書化 
まず最初に、共有者全員で共有比率を明確にし、それを文書化することが重要です。これにより、後から生じる誤解やトラブルを防ぐことができます。公正証書役場や司法書士による確認を受けることで、文書の法的効力を高めることができます。

②売却代金の第三者信託 
売却代金は、分配を行う前に一時的に第三者の信託口座に預ける方法も考えられます。これにより、共有者間の争いを避けつつ、冷静に分配の話し合いを行うことができます。 

③中立的な第三者の介入 
共有比率や過去の取引に関する不明確な点、利害対立がある場合、中立的な立場の第三者(例:弁護士や不動産コンサルタント)を介入させることで、公平な分配を目指すことができます。 

共有比率に応じた売却代金の分配は、共有物件の売却における重要なステップです。このプロセスを円滑に進めるためには、事前の準備と共有者間の適切なコミュニケーションが不可欠です。

3. 共有者の代表者選定とその重要性 

共有物件を売却する際、多数の共有者が関与している場合、取引の進行や意思決定を効率的に行うためには、代表者を選定することが求められます。しかし、この代表者の選定や役割には、特有の問題点や課題が存在します。以下では、その詳細と解決策について探ります。 

Ⅰ. 代表者の選定の意義 

複数の共有者がいる場合、すべての共有者が取引のすべての場面に関与するのは現実的ではありません。取引のスムーズな進行、また、購入希望者や不動産業者との交渉のためには、一つの窓口として機能する代表者が必要となります。代表者は共有者全員の意向を反映させる役割を持ち、外部との交渉や情報共有の中心となります。 

Ⅱ.代表者選定の際の問題点 

①意思の不一致 
共有者間での意見や利益が異なる場合、代表者として誰を選ぶかで意見が分かれることがあります。このような意思の不一致は、取引の進行を遅らせる原因となる場合があります。 

②責任の重圧 
代表者は多くの責任を負う役割であるため、その重圧から逃れたいと考える共有者がいることも想定されます。このため、適切な人選が難しくなる場合があります。 

③情報の非対称性 
代表者が全ての情報を共有者全員と共有しない場合、情報の非対称性が生じます。これにより、取引の進行中やその後に、共有者間のトラブルの原因となる可能性があります。 

以上の3つの法律的な問題点とそれに対する具体的な解決方法を理解し、適切に対応することで、複数の共有者がいる物件の売却もスムーズに進めることができます。物件の共有者間での透明性と信頼関係の構築が、トラブルを防ぐカギとなります。 

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